Column / Vol.02 About RapiQ

リサーチを 「ぜいたく品」から「日用品」へ

意思決定が遅れる、本当の理由。 それは、リサーチが「特別なもの」のまま残っていることかもしれません。

/ 読了目安 約 7 分 / 編集部
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「リサーチ」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは──年に一度の エンゲージメントサーベイ、半年に一度の ブランド調査、大型施策の前にだけ走らせる ユーザーインタビュー。 どれも数週間〜数か月かけて準備し、結果が出てくるのは依頼の数か月あと。

問題は、その「特別さ」そのものにあります。特別だから時間がかかる。時間がかかるから、結果が届くころには現場の問いはもう別のところへ行っている。 そして "次の意思決定" は、結局またフィーリングで決まっていく。

リサーチを 「ぜいたく品」から「日用品」へ。 この一文が、私たちが RapiQ を通じて組織に手渡したい一番のシフトです。今日のコラムは、その意味するところを、少しずつ言葉にしていきます。

Why it became a luxury

なぜリサーチは「ぜいたく品」になったのか

一気にここまで来たわけではありません。組織のあちこちで、少しずつ「リサーチを特別なもの」にしていく前提が積み上がっていきました。代表的なものを3つ。

01

設問設計に時間がかかる

「何を聞くか」を決めるのに、社内ヒアリングと議論で2週間。やっと配信できたころには、知りたかった問いは別の現場でもう動き出している──そんな前後関係が、組織内に固定化していきます。

02

分析の専門性が属人化している

回収した自由記述は数百件。読むのは特定の人だけで、その人が「何を読み取ったか」が組織の判断材料になります。読み手が変われば答えも変わる、という事実は、たいてい言語化されません。

03

レポートから「次の動き」までが断絶している

PDFで配ったあとに、「で、これって何が分かったんでしたっけ」と数か月後に聞かれる。レポートは仕上がりの瞬間がピークで、そこからは静かに棚の奥へ向かっていきます。

ひとつひとつは、合理的な選択の結果です。専門性を高めるために調査を担当する人を絞り、品質を担保するために設問設計を慎重にし、説明責任を果たすためにレポートをきれいに仕上げる。 ただ、その積み重ねが 「特別なもの」というカテゴリ を組織の中に作りあげてしまった、というのが現在地です。

Frequency

「特別」と「日常」の、頻度の違い

文章だと伝わりにくいので、1年の中で「いつリサーチが走っているか」を点で並べてみました。横軸は1年、縦軸はありません。点の数だけ、組織と現場の往復が増えているという見え方です。

ぜいたく品

年に1回

日用品

日々

上が「年に1度の特別な調査」しか走らない年。下が「日々の小さな確認・検証」が点として残り続ける年。 点の高さや大きさのばらつきは、走った調査の規模感や粒度の違いを示しています。

「日用品化」のイメージはこの下半分です。 次のセクションでは、点が増えたときに組織と意思決定の何が変わるのか、を 3 方向に分解してみます。

As a daily utility

「日用品」化すると、組織で何が変わるのか

「特別なもの」から「日々の動作」へ。 それは単にリサーチを安く早くする、という話ではありません。組織と意思決定のあいだの距離感そのものが、3つの方向に変わっていきます。

01

「問い」と「答え」が、ループになる

一度きりの調査ではなく、気になった瞬間に小さく聞ける状態。回答が返ってきたら、新しい問いが立つ。組織の中で問いが循環しはじめると、リサーチは "プロジェクト" ではなく "動作" になります。

02

意思決定の速度が、変わる

「来週の役員会までに、利用者の声を 80 件分聞いておいてほしい」──そんな依頼に翌日には筋道が立っている。判断する人と現場の距離が、リサーチを介して縮まっていきます。

03

リサーチが「行事」ではなくなる

社員全員を巻き込む年1回の大調査だけが「リサーチ」ではなくなる。日々の小さな確認、施策前後の効果検証、新しいアイデアの仮説テスト。粒度が変われば、関わる人も変わります。

これらに共通するのは、「問いを持っている人」と「答えを返せる場」の距離が縮む ことです。 年に一度の大調査では届かなかった粒度の問いに、組織が答えはじめる。リサーチが「日用品」になるというのは、そういう手触りのことです。

What to let go

日常化のために、いったん手放すもの

「日用品」に置き直すというのは、リサーチをラフにする話ではありません。 むしろ、これまでリサーチを支えていた前提のうち、いくつかをいったん手放す勇気の話です。

「完璧な設問」への執着

聞いてみないと、適切な設問は分からない。日用品の調査は、最初の1回で正解を当てに行くものではなく、回しながら磨いていくものです。

「サンプルサイズ神話」

統計的有意性は、目的によっては必要十分ではありません。10人の声で動けることもあれば、500人でも動けないこともある。「何のために聞くのか」が先にあれば、必要なサンプルは自然に決まります。

「リサーチ部門だけのもの」という閉じ方

調査企画も、分析も、レポートも、特定の部門に閉じ込めているうちは日用品にはなりません。経営、HR、プロダクト、CS──現場ごとに、必要な粒度で問いを立てられる環境がいる。

この3つを手放した先で、調査・分析・レポート・アクション が分断されずに一筆書きでつながる景色が見えてきます。 私たちは RapiQ で、その景色をひとつのプロダクトとして組織に届けたいと考えています。

Meet RapiQ

リサーチを「日用品」にする、というスタンスでつくっています。

設問の下書き、配信、回収、自由記述の読み解き、レポートの初稿まで。 これまで「特別な人だけがやっていたこと」を、組織の日常動作に落とすためのプロダクトです。

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